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見出し育児休業を申し出たところ「規則がない」

Q:育児休業を申し出たところ「規則がない」

Aさんは出産後、育児休業を取得しようと会社に申し出たところ、「規則がない」と受け付けてもらえませんが、休業することはできないのでしょうか。またBさんは、育児休業取得して職場に復帰したところ、自宅から1番遠い支店に転勤するように会社から言われましたが、許されるのでしょうか。

A:育児休業の申し出は原則として拒めません

事業主は、育児休業の申し出があった場合、原則としてこれを拒むことができません(育介法6条)。会社にはこのような法律の内容を理解させて、同僚の協力も得ながら、育児休業を取得しましょう。また育児休業を理由とした不利益取扱いは禁止されており、使用者は、就業場所の変更を伴う配置転換(転勤)を命じるにあたって、育児や介護に従事する労働者の状況に配慮しなければなりませんので、この配慮を怠ったままの転勤命令は、権利濫用として無効と考えられます。

育児休業とは

育児休業は、労働者の申し出により、生後1歳未満の子(法律上の親子関係にある実子及び養子)を養育するためにする休業で、子が生まれた日から原則として最長で1歳に達するまで、男女を問わず休業できる制度です(尚、父母がともに育児休業を取得する場合には、原則として1歳2カ月までの間に1年間育児休業を取得可能とされています。いわゆる「パパ・ママ育休プラス制度」)。また育児休業を取得することができるのは、子1人につき1回であり、細切れ取得することはできないのが原則ですが、出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合には、その父親は育児休業を再取得することができ、育児休業期間中の所得保障は、雇用保険法に基づいて給付金が支給されます。
使用者は、原則として労働者の育児休業の申出を拒むことができず、更に育児休業期間中、時間外労働や深夜労働を命じることが制限されています。

育児休業と不利益取扱いの禁止

育介法では、労働者がこれらの申立てをしたことや取得したことを理由として、「解雇その他の不利益取扱をしてはならない」とし、労働者を転勤させる場合、子の養育または家族の介護の状況に配慮することを事業主に義務付けています。
また単身赴任をもたらす転勤に際して、判例上使用者は信義則上、労働者の不利益を軽減するために社会通念上求められる措置をとるよう配慮すべき義務があるとされており、したがってこの「義務」を果たさない場合には、配転命令権の濫用の可能性が出てくることになります。