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見出し契約社員の雇用期間はどれくらいなのでしょうか

Q:契約社員の雇用期間はどれくらいなのでしょうか

Aさんは事務職の契約社員として入社しましたが、契約書に「契約期間は4年間とする」と記載されていますが、問題はないのでしょうか。

A:有期契約には上限規制があります

有期労働契約の期間は原則として最長3年とされており、4年間の労働契約は無効とされ、3年間の契約とされることになります(但し更新は可能)。

有期契約と上限規制

労働契約には、その存続期間があらかじめ定められているもの(=有期契約)と、期間の定めのないもの(=無期契約)とがあり、労働関係は期間を定めないのが原則ですが、今日わが国の職場では非正規雇用が急速に増加しており、2010年には約1755万人と過去最高の34.3%に達し、その大半である約1200万人が有期雇用で占められているのです(その実際のタイプや名称は、日雇い、臨時工、季節労働者、期間社員、アルバイト、嘱託、パート社員、契約社員など様々です)。
有期契約を締結する場合には、その期間について法規制があり、民法の原則は最長5年とされていますが(但し商工業見習者の場合10年、民法626条1項)、労使関係における長期の契約は、人身の拘束や強制労働にわたる危険性が見られたことから、契約期間の上限は、民法の特則として労基法上は制定以来1年とされてきましたが(旧労基法14条)、この間の規制緩和の流の中で今日では、上限は原則3年とされ、例外的に①高度な専門的知識、技術、経験を有する労働者で高度な専門的知識等を必要とする業務に就く者や、②満60歳以上の労働者については5年まで認められることになっているのです(現行労基法14条)。
もっとも2012年の改正労契法により有期労働契約について、①通算5年超の有期契約の無期契約への転換、②「雇止め法理(判例法理)」の法制化、③不合理な労働条件の禁止の3つのルールが規定され(②は2012年8月10日施行され、①③は2013年4月1日から施行される)、特に①、②は雇用の継続のために上限規制を強化するものとなっているのです。

期間の長さの下限への配慮

労基法では、雇用期間の長さについては上限(最長期間)のみが規制され、下限(最短期間)は規制されていません。したがって例えば、2か月、1か月、1週間という短期間や、極端な場合、1日という期間の契約(いわゆる「日雇」など)も、契約自由の原則から、有効とされているのです。これは、実際上、労働需要には様々なものがあり、数日ないし1日といったスポット的な需要も多数存在し、またこのような労働を求める人々も相当数存在するという理由に基づくとされてきていたのでした。しかし、短期の期間雇用は、むしろ今日、雇用調整の容易さのゆえに、継続的(恒常的)な労働需要のために多用若しくは乱用されるようになっており、たとえば2008年9月に起こったリーマン・ショックの際の、いわゆる「高速」期間工切りの対象とされた人々の多くは、このような形態で3年~5年と長期にわたって反復更新していた人々だったのです。
そこで、労契法(2008年施行)では、期間雇用に関するこのような状況を考慮して、「使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない」との規定が設けられています(労契法17条2項)。
<契約期間の上限を超えた契約の効力―黙示の更新>
契約期間の上限規制を超えた期間を定めた契約は、制限期間の上限の期間を定めたものとされ(労基法13条、14条、平15.10.22基発1022001号)、その上限期間を超えて労働関係が継続された場合には、黙示の更新により期間の定めのない契約として扱われ(旭川大学事件・札幌高判昭56.7.16労民集32巻3・4号502頁)、上限期間を経過した後の雇止めは、前述した労契法改正により、無期契約への転換(労契法18条)や、雇止め法理の適用(同法19条)を受けることになります。