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見出し退職させてくれない

Q:退職させてくれない

会社になじめず退職する旨伝えたところ、会社の事業に影響を及ぼすとして、損害賠償を請求されたが問題ではないか。

A:労働者の意思に反する労働の強制は許されません

労基法は、使用者が、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制することを禁止しており、この規定に違反した使用者には、労基法上で最も重い刑罰が課されることとなっています(労基法5条・117条)。
また損害賠償請求等の経済制裁も、賠償予定の禁止に違反すると共に(労基法16条)、本条の違反になり得ます。なぜならば労働者の退職は、期間の定めのない労働契約の場合は、予告期間さえおけば自由であり(民法627条)、また期間の定めがある労働契約の場合も、「やむを得ない事由」があれば解約可能であり(628条)、単に「会社の雰囲気になじめない」というのであれば、従業員に過失があるとも思えませんので、損害賠償の責任が発生するは考えられません。

(注) 例えば、病院による看護師の雇入れに際し2年間の勤続を条件に給付された契約金について、中途退職の場合、当該契約金の返還のほか2割相当額を違約金として支払う約定は、強制労働の禁止に反する経済的足止め策であるとした医療法人北錦会事件(大阪簡裁判平7.3.16)、外資系企業における、サイニングボーナス(雇用契約の成約を確認し勤労意欲を促すことを目的とする金員で、本件の場合は200万円。なお本件労働者の年収は1650万円)につき、1年以内に自らの意思で退職した場合にはこれを返還する旨の約定は、強制労働禁止、賠償予定禁止に違反し無効であるとした日本ポラロイド(サイニングボーナス等)事件(東京地判平15.3.31)などがあります。