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見出し上司が体に触ったり、しつこくメールをよこす

Q:上司が体に触ったり、しつこくメールをよこす

職場の上司である課長は仕事中に体に触ったり、しつこくメールをよこしたり飲食に誘ってくるが、断ると人事評価が下げられそうで困っている。どうしたらよいでしょうか。

A:明白なセクハラ行為です

本問は明白なセクハラ行為であり、上司はセクハラとして法的責任が問われることになるので、毅然とした態度をとるべきです。

セクハラ

セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)は、一般に「相手方の意に反する不快な性的言動」のことを意味しており、職場などで主として男性の上司や同僚が加害者となり、女性が被害者になることが圧倒的に多いものです。セクハラはそれ自体は古くから存在した社会現象ですが、わが国では1980年代から、とりわけ女性の権利意識の高揚やアメリカ法の影響により関心が高まり、多くの訴訟が提起されるようになつてきたものなのです。
セクハラは上述のとおり「相手方の意に反する性的言動」と定義され、男性に対するセクハラも対象とされ(典型的には人事院規則10-10、尚均等法は格別その概念や定義を定めることなく、セクハラが行われないよう、事業主が雇用管理上必要な配慮をすべきことを定めています。均等法11条)、均等法の指針では、同性間も対象とされるようになりました(2014年7月1日施行)。
セクハラの類型としては均等法上、上司等が性的関係を迫り拒否されたことを理由に解雇などの不利益を加える「対価型(代償型)」(パワハラと重複します)と、職場環境を侵害する「環境型」とに区別されていますが(平18.10.11厚労告615号2(5)(6))、裁判上問題とされるのは、主として環境型が多いといえましょう。
セクハラは法的には、一般に人格権あるいは性的自己決定権の侵害と評価されており、セクハラの直接行為者は、上司であれ同僚であれ、不法行為の要件が満たされるかぎりその責任を負うことになり、さらに企業内であれ企業外であれ(特に宴席や帰宅途上など、いわゆる「アフター5」)、業務遂行に悪影響を及ぼすことがあるので、行為者に対する解雇や懲戒処分の制裁が有効とされる場合が多いといえましょう。またセクハラがなされた場合、直接の行為者のみならず、使用者も責任を負うことがあります(民法415条・709条・715条など)。
したがって設問では上司の行為は明白なセクハラであり、本人には不法行為の責任が発生し(民法709条)、また会社にも均等法上の措置義務があるほか(均等法11条)、使用者責任や債務不履行責任が発生することがあります(民法715条・415条)。

セクハラへの対処

本問では上司の行為がセクハラであることを明らかにして、「やめてほしい」とはっきり明示し、相手に誤解を与えないような行動をとる必要があります。相手が誤解すればその後も執拗に同じ行為をくり返すことになるので、相手に嫌だと感じていること、行為をやめなければ、会社の相談窓口等に相談する意思があることを明言し、その際、セクハラを受けた日時、場所、具体的なやりとり、周囲の状況、その後の相手との交渉経過などを記録や録音しておくとよいでしょう(なお、メールのやりとりは相手も記録しているので、相手に迎合的な発言や不用意な発言をしないように注意が必要になります)。